古いTシャツを裂き布ヤーンにアップサイクル:風合い豊かなクッションカバーの作り方
はじめに
不要になった古いTシャツは、素材によっては非常に丈夫で柔らかな繊維として再活用できます。今回は、着られなくなったTシャツを細く裂いて「裂き布ヤーン(糸)」に変え、それを使って温かみのある風合いが魅力のクッションカバーを作る方法をご紹介します。捨てるはずだったTシャツが、お部屋のアクセントになる素敵なインテリアアイテムとして生まれ変わります。環境に優しく、手触りの良いオリジナルのクッションカバー作りに挑戦してみませんか。
このDIYがおすすめの理由
このクッションカバーは、古いTシャツを主な材料としており、まさに究極のアップサイクルと言えます。様々な色や素材のTシャツを組み合わせることで、既製品にはない独特の風合いやデザインを生み出すことができます。完成したクッションカバーは、ソファや椅子のアクセントとして、また床に置いてリラックススペースを演出するアイテムとして実用的に活用できます。手作りならではの温かみが、お部屋に心地よい空間をもたらします。
必要なもの
廃材・身の回り品
- 古いTシャツ: 複数枚(クッションのサイズによりますが、45cm角程度のカバーで大人用Tシャツ5〜8枚程度が目安です。綿100%素材が裂きやすく扱いやすいでしょう。収縮率や厚みが均一に近いものを選ぶと仕上がりが安定します。)
- 既存のクッションまたはクッションカバー: 完成サイズの目安にするため
工具・材料
- よく切れるハサミ: Tシャツを正確かつスムーズに裂くために必要です。
- かぎ針(または太めの縫い針と丈夫な糸、ミシン): 裂き布ヤーンを編む場合、10号以上の太めのかぎ針が適しています。縫い合わせる場合は、裂き布を通せる太さの針と、生地の色に合わせた丈夫な糸を使用します。ミシンがあると縫い合わせが楽になります。
- 定規またはメジャー: 裂き布の幅を均一に測るため。
- チャコペンまたは鉛筆: Tシャツに印をつける場合に使用します。
- 待ち針: 布を固定する場合に使用します。
- 必要に応じて、土台布: カバーの裏地や、裂き布ヤーンを縫い付けるベースとして使う場合に使用します。既存の古い布や端切れなどでも代用可能です。
- 必要に応じて、ファスナーやボタン: カバーを取り外せるようにする場合に使用します。簡単な合わせタイプにする場合は不要です。
下準備:裂き布ヤーンを作る
- Tシャツを広げる: きれいに洗濯した古いTシャツを平らな場所に広げます。
- 縫い目やプリント部分を避ける: 脇の縫い目や裾、首回りのリブ、大きなプリント部分など、生地の伸縮性が均一でない部分や厚みのある部分は避けてください。身頃の筒状の部分を中心に使います。
- 布に印をつける: Tシャツの裾側から、約2cm〜3cm程度の一定の幅で縦方向にチャコペンなどで印をつけます。この幅が、裂き布ヤーンの太さになります。幅が狭すぎると細切れになりやすく、広すぎるとゴワつきます。Tシャツの厚みによって適切な幅を見つけてください。
- 切り込みを入れる: 印をつけた線に沿って、Tシャツの上端から約1cm程度のところで切り込みを入れます。この時点では、まだ完全に切り離しません。
- 裂く: 切り込みに指を入れて、一気に布を裂きます。綿素材などのTシャツは比較的きれいに裂けます。ポリエステル混紡など素材によっては裂きにくい場合がありますので、その場合はハサミで切ってください。
- つなげる: 裂いた布を一本の長いヤーンにするため、端と端をつなぎ合わせます。端に切り込みを入れて輪を作り、もう一方の端を通して引き抜く方法(写真A参照)、または斜めに切れ込みを入れて重ねて結ぶ方法(写真B参照)、あるいは単純に端と端を縫い合わせる方法があります。編み物で使う場合は、輪を通して引き抜く方法が簡単でかさばりにくいでしょう。この作業を繰り返し、必要な量の裂き布ヤーンを作ります。
(写真A:輪を通してつなぐ方法、写真B:斜めに切り込みを入れて結ぶ方法のイメージ画像を想定)
作り方:裂き布ヤーンでクッションカバーを作る
ここでは、裂き布ヤーンをかぎ針で編んで作る方法と、土台布に縫い付けて作る方法の二通りを簡単に説明します。
方法1:かぎ針で編む方法
- 編む方向を決める: クッションカバーの表側になる布を編みます。クッションのサイズに合わせて、必要な大きさの長方形を2枚編みます。
- 鎖編みでスタート: 裂き布ヤーンをかぎ針で、作りたいクッションの幅に合わせて鎖編みをします。裂き布ヤーンは太いので、少し緩めに編むのがコツです。
- 模様編み: 鎖編みの上に、細編み、長編み、引き抜き編みなどを組み合わせて編んでいきます。裂き布ヤーンの風合いを活かすには、細編みなどシンプルな編み方がおすすめです。編み密度を均一に保つよう注意しましょう。
- サイズに合わせて編む: クッションの縦、横のサイズに合わせて、必要な枚数(通常は表裏の2枚、または表1枚+土台布1枚)を編みます。編み上がったら、サイズが合っているか既存のクッションカバーなどと比べて確認します。
- 縫い合わせる: 編み上がった2枚の布を中表(裏側を外側にして重ねる)にして、かぎ針または太めの縫い針と丈夫な糸で周りを縫い合わせます。3辺を縫い、クッションを入れる1辺は開けておきます。
- 仕上げ: 開けておいた口からクッションを入れ、手縫いまたはミシンで閉じます。取り外し可能にしたい場合は、この開け口にファスナーやボタンを付けます。
方法2:土台布に縫い付けて作る方法
- 土台布を用意する: クッションカバーのサイズに合わせた土台布を2枚用意します。古い布や厚手の生地などが適しています。
- 裂き布ヤーンを配置する: 土台布の表側に、裂き布ヤーンを好みの模様になるように配置します。並べるだけでも、渦巻き状にしたり、ストライプにしたり、自由にデザインできます。
- 縫い付ける: 配置した裂き布ヤーンを、土台布に縫い付けて固定します。ミシンを使うと早くきれいに仕上がりますが、手縫いでも丁寧に縫えば十分です。裂き布ヤーンの中心あたりを縫うと落ち着きやすいでしょう。ヤーン全体を覆うように縫い付けることもできます。
- もう1枚も同様に作る: もう1枚の土台布にも同様に裂き布ヤーンを縫い付けます。
- 縫い合わせる: 裂き布ヤーンを縫い付けた2枚の土台布を中表にして重ね、周りを縫い合わせます。編む方法と同様に、3辺を縫い、1辺を開けておきます。
- 仕上げ: 開けておいた口からクッションを入れ、閉じます。ファスナーなどを付けて取り外し可能にすることも可能です。
DIYを成功させるためのコツと注意点
- Tシャツの素材選び: 綿100%のTシャツは柔らかく裂きやすいため、裂き布ヤーン作りに最も適しています。伸縮性の高い素材や薄すぎる素材は扱いにくい場合があります。
- 裂き布の幅を均一に: 裂き布ヤーンの幅が均一でないと、編み目や縫い付けた際に凸凹ができやすくなります。できるだけ同じ幅になるように作業してください。
- ヤーンの太さを調整: Tシャツの厚みや作りたいカバーのイメージに合わせて、裂く幅を調整してみてください。太くするとざっくりとした仕上がりに、細くするとより緻密な仕上がりになります。
- 色の組み合わせを楽しむ: 色とりどりのTシャツを使えば、カラフルで個性的なデザインになります。同系色でまとめると落ち着いた印象に、アクセントカラーを効かせるとモダンな印象になります。
- 安全な工具の取り扱い: ハサミや縫い針を使用する際は、指先を切らないよう十分に注意してください。小さなお子様やペットの近くでの作業は避けましょう。
環境配慮について
このDIYは、不要になった衣類を捨てることなく再利用する、非常に環境負荷の少ないアップサイクルです。新しい布を購入する代わりに、既存の資源を有効活用しています。もし土台布やファスナーなどを新しく購入する必要がある場合は、オーガニックコットン製品やリサイクル素材を使った製品など、より環境に配慮した選択肢を検討するのも良いでしょう。また、手縫いやミシンでの作業は、特別な薬剤や大量のエネルギーを消費しないため、環境に優しい製作方法と言えます。
完成作品の活用例とアレンジ
完成した裂き布ヤーンのクッションカバーは、リビングのソファ、寝室のベッド、書斎の椅子など、様々な場所で活躍します。複数個作って並べると、お部屋全体に統一感が生まれます。
アレンジアイデア:
- 編み方/縫い付け方の変化: 同じ裂き布ヤーンでも、編み方を変えたり、縫い付ける密度やパターンを変えることで、全く異なる表情のカバーになります。
- 他の素材との組み合わせ: 一部分に異素材(麻布、デニム、フェルトなど)を組み合わせたり、ポンポンやタッセルなどの飾りを付け加えたりするのもおすすめです。
- 違うアイテムへの応用: 裂き布ヤーンは、ラグマット、鍋敷き、バスケット、バッグ、ペット用ベッドなど、様々なアイテムに応用可能です。クッションカバー作りで余ったヤーンを活用できます。
まとめ
古いTシャツを裂き布ヤーンにアップサイクルして作るクッションカバーは、環境に優しく、製作過程も楽しめるDIYです。既成概念にとらわれず、自由な発想で色やパターンを組み合わせることで、世界に一つだけのオリジナルのクッションカバーが完成します。ぜひ、お気に入りのTシャツや思い出のTシャツを使って、このアップサイクルDIYに挑戦してみてください。手作りの温かさが、きっとあなたの暮らしを豊かにしてくれるでしょう。