古書を再利用:隠し収納にもなるブック型ボックスの作り方
使われなくなった古書は、紙としてリサイクルされる以外にも、新たな命を吹き込むことができます。今回は、読み終えたり傷んでしまったりしたハードカバーの古書をアップサイクルし、本棚に置いておけるブック型の収納ボックスを製作する方法をご紹介します。
このブック型ボックスは、見た目は本そのものですので、本棚に自然に馴染みます。中に小物や貴重品を収納すれば、まさに「隠し収納」としても活用できます。捨てるはずだった本が実用的でおしゃれなアイテムに生まれ変わる、環境にも優しいDIYアイデアです。
必要なもの
このDIYプロジェクトに必要な廃材、身の回り品、工具、材料は以下の通りです。
- 廃材・身の回り品:
- ハードカバーの古書 1冊(厚みがしっかりあるもの、箱にしたいサイズより少し大きめのものが適しています)
- 工具:
- カッターナイフ(切れ味の良いもの)
- 金属製の定規
- 鉛筆
- 刷毛
- 材料:
- 木工用ボンド(速乾性でないものが作業しやすいです)
- 重しになるもの(厚めの本など、本全体を均等に押さえられるもの)
- (お好みで)内装用の紙や布、装飾用のアイテム
作り方
ここでは、古書からブック型収納ボックスを作成する具体的な手順を説明します。各工程を丁寧に行うことが、きれいな仕上がりにつながります。
ステップ1:ページの固定
まず、ボックスとして切り抜く部分以外のページをボンドで固定します。 本の表紙を開き、最初の数ページ(約5mm程度の厚さ、本によって調整してください)を残します。ここがボックスの蓋裏側になります。それ以降のページ束の三方(天、地、小口側)に木工用ボンドを刷毛で薄く、均一に塗ります。ボンドは本の背表紙側には塗らないでください。ページ同士がしっかりとくっつくように、ボンドが乾く前に本を閉じ、上から重しを乗せてしっかりと圧着します。この状態でボンドが完全に乾くまで、半日〜一日程度しっかりと乾燥させます。乾燥時間はボンドの種類や湿度によって異なりますので、十分に時間を取ってください。
ステップ2:切り抜く範囲の決定と印付け
ボンドが完全に乾燥し、ページ束がしっかりと固まったら、ボックスとして切り抜く範囲を決めます。 表紙から残しておいた数ページを開き、固まったページ束の上に切り抜きたいボックスの形を鉛筆で印付けします。定規を使い、本の外側から均等な余白(約1.5cm〜2cm程度が目安)を取ると、バランスの良い仕上がりになります。四隅は直角になるように丁寧に印付けしてください。
ステップ3:ページを切り抜く
カッターナイフを使って、印付けした線に沿ってページを切り抜いていきます。 安全に十分配慮してください。カッターの刃は常に新しいものを使用し、無理な力を加えずに少しずつ切り進めます。 定規をしっかりと印に合わせ、カッターの刃を数ミリだけ出して、定規に沿って何度も繰り返し切り込みを入れていくのがコツです。一度に深く切ろうとせず、根気強く少しずつ層を切り抜いていきます。指を切らないよう、カッターを使う手と反対の手で定規をしっかりと押さえてください。切り抜く深さは、本の厚みの大部分ですが、底を完全に切り抜いてしまわないように注意します。目的の深さまで切り抜いたら、切り抜いたページ束の中心部分を取り除きます。
ステップ4:内側の仕上げ
ページを切り抜いてできたボックスの内側の切り口部分を仕上げます。 切り口にボンドを薄く塗ることで、ページの断面が固定され、ほつれにくくなります。刷毛を使って、断面全体に均一に塗布してください。ここでもボンドを塗りすぎるとページが膨らんだりヨレたりする原因になりますので注意が必要です。ボンドが乾くのを待ちます。この工程で、切り口がより滑らかで丈夫になります。
ステップ5:内装・装飾(オプション)
ボックスの内側や、表紙の裏側(蓋裏)に紙や布を貼ると、より美しく、完成度が高まります。 ボックスのサイズに合わせて紙や布をカットし、ボンドや両面テープを使って貼り付けます。お好みの柄や色を選ぶことで、個性的なボックスに仕上がります。外側はそのままでも十分雰囲気がありますが、必要に応じて補修したり、ニスなどで保護したりすることも可能です。
DIYを成功させるためのポイント・注意点
- 適切な本の選択: ハードカバーで、ある程度の厚みがある本を選びましょう。ペーパーバックはページが柔らかく、きれいに切り抜くのが難しい場合があります。
- カッターの扱いに習熟する: カッターナイフは非常に鋭利です。使用方法を十分に理解し、焦らず慎重に作業を進めることが最も重要です。作業台にはカッターマットを敷くことを推奨します。
- ボンドの量と乾燥: ボンドは薄く均一に塗ることで、ページが波打つのを防ぎ、きれいに固まります。完全に乾燥させることで、頑丈なボックスになります。急がずにしっかりと時間をかけてください。
- 切り抜きの精度: 定規をしっかりと固定し、カッターの刃を垂直に入れる意識を持つことで、まっすぐな切り口が得られます。
環境配慮について
このDIYは、本来であれば廃棄される古書を再利用する代表的なアップサイクルです。紙のリサイクルも重要ですが、このように形を変えて長く使い続けることも、資源の有効活用につながります。使用する木工用ボンドや塗料を選ぶ際は、環境負荷の少ないもの、例えば揮発性有機化合物(VOC)の含有量が少ない水性の製品などを検討することも、さらに環境に配慮した選択と言えるでしょう。
完成品の活用例・アレンジ
完成したブック型収納ボックスは様々な用途に活用できます。
- 小物入れ: アクセサリー、印鑑、USBメモリ、SDカード、鍵などの小さなものを整理して収納するのに適しています。
- 隠し金庫: 外見が本なので、貴重品をさりげなく保管する場所として利用できます。
- ギフトボックス: 手作りのギフトボックスとしてプレゼントに使うのも素敵です。
- デスクトップ整理: デスク上の細々としたものを一時的に収納するのに役立ちます。
アレンジとして、ボックスの内側にベルベット調の布を貼ったり、蓋裏に写真を貼ったりすることも可能です。複数のサイズの本で作り、重ねてディスプレイするのもおしゃれです。
まとめ
使われなくなった古書が、少しの手間とアイデアで、実用的なだけでなく見た目にも魅力的なブック型収納ボックスに生まれ変わります。このDIYを通して、身の回りにある「不要になったもの」に新たな価値を見出し、アップサイクルを楽しむきっかけとしていただければ幸いです。本棚に並ぶたびに、手作りの温かみと環境に優しい取り組みを感じられることでしょう。ぜひ挑戦してみてください。